music

 

さてさて、最初の記事にして最大の話題でもあるこのテーマ。音楽という業界がこれまでどんな風に作られてきて
そして音楽業界の現状は今どうなっているのか?そんな感じの話をちょっぴり深く書いてみた的な記事になります。

 

 

音楽業界のこれまで


僕が音楽を聞き出したのは中学生になってから。今からもう12年も前の話になります。
小さい頃は車の中でかかっていたカセットで音楽を覚え、子供ながらにも歌っていた記憶があったりなかったり。
90年代と言えばスピッツやミスチルが盛り上がってた頃だと思うので、車の中で聞いていた音楽もミスチルとか
スピッツ、他にはGrayとかELTとかX-JAPANなんかも聴いてましたね。完全に親の趣味で音楽を覚えました。

だから初めて自主的に音楽を聴こうと思ったのは中学生になって親が持っていたMDプレイヤーを借りて走り回って
いた時だったと思います。家の近くにレンタルショップがあったので、おこずかいはCDを借りるのに使いまくって
家に帰ると好きな音楽をエンドレスに聴くという生活。あの頃に自分が何を聴いていたかは正直あんまり覚えてい
ませんが、とにかく夢中になって音楽を聴いていました。2001年頃の話なので、ポルノグラフィティが爆発してた
頃ですかね。アゲハ蝶とかサウダージとか。あー何かこんな話してたら懐かしくてニヤけてきました。

2001年ともなるとCDというメディアが世に登場してから随分たつ頃で、その売上も落ち着き、徐々に衰退を始めて
いる頃でもあります。音楽ソフト(CD、カセット、レコード、音楽ビデオなど)が最も売れた全盛期の1998年では
その額なんと6074億円にも登る市場でした。CDの合計生産金額は5878億円にも及び、CDがその多くを占めていた
ことが分かります。確かに当時はCDを買うかレンタルしてMDにコピーする流れがテンプレ化してましたよねー。

で、そんな日本の音楽業界が盛り上がっていた1998年に比べて現在どのくらいまで落ち込んでいるかと言いますと
2011年の時点で音楽ソフトの生産実績はおよそ2818億円にまで下がりました。CDの合計生産金額を見ても2008億
円にまで落ち込んでしまったわけです。単純計算で音楽の市場は半分以下まで下落し、12年連続でその市場を縮小
させてしまう結果になりました。いったい全体どうしてこんな事になってしまったんですかね。

 

 

音楽市場は世界規模で見ても縮小傾向にある


最近はCDが売れない、なんてのはもう普通に聞くようになりましたよね。昔はミリオンヒット(100万枚)なんて
のも割とけっこうポンポン出て来た記憶がありますが、ここ最近はそんな嬉しいニュースはめったに聞かなくなり
ました。今はアルバム出して10万枚とか売れたら「うおー!」って感じですよね。日本だけで見ても、昔に比べて
明らかにCDは売れなくなっていいる。もはやこれは誰もが感じている共通の認識だと思います。

じゃあそれを世界規模で見てみよう!という話になるわけですが、例えば米国では日本に比べてCDから単価の安い
音楽配信へシフトするのが早かったことあり、音楽ソフトの売上を全体で見た時にCDの売上は既に全体の40%ほど
にまで下がっています。1年毎に大きな下落が見られるわけではないですが、長期スパンで見た時に見るからにその
市場が縮小しているのが分かります。グラフで見ると、完全に右下がり。音楽市場は今も縮小し続けているんです。

 

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じゃあ世界規模で縮小してるなら日本はもっとやばいんじゃね?と思いがちですが不思議なことに日本は今もなお
他国に比べて高い数字を維持しています。要するに、アメリカとか他の国よりもCDは売れてるってことなんです。
いやいやちょっと待てやと。こんな島国でのCD売上があの大国アメリカ様よりも比率が大きいだと?そんなまさか。
と思う人もたくさんいるはずだし、実際僕もそう思ったうちの1人なわけですが、これは世の中でブームになった
あれこれを考えてみるとすんなり納得できると思うんです。お茶の間を騒がせたミリオンアイドルと言えば、ね。

 

 

日本のアイドル文化が音楽業界に与える影響力


オリコンが2011年に発表したCDパッケージシングルランキングによると、その上位は全て同じ名前で埋め尽くされ
ていました。そう、みなさんご存知「AKB48」です。シングルの売上が年間5作ミリオン(100万枚)突破というの
は96年のミスチルやB’zを抜いて新記録を樹立したと言われています。先ほどのグラフで見たように、音楽市場その
ものが全盛期の半分以下にまで落ち込んでいるこの時期に、CDの売上が当時の記録を超えるなどという快挙は普通に
考えたらマジでイミフな現象です。

2010年で見てもジャニーズを代表する「嵐」といったアイドルグループが上位を全て独占している結果で、日本の
音楽業界はもはやアイドル業界と言っても過言ではないほどアイドルという属性に染められているのが分かります。
ちょっと考えてみればこの数字が現象が異常であることも、そもそもこの時代にミリオンヒットが5作連続で出るこ
とも、全てがおかしい話です。そこには「何かやらかしたな?」という臭いがプンプンしますね。

 

 

CDパッケージを買ってもらうためのビジネス戦略


みなさんお気づきのように、AKB48のCDはただのCDとして発売されているわけではありませんよね。メンバーとの
握手権がついている、などCDとは別に特典をつけることで5作連続ミリオンなどという驚異的な数字を叩き出しまし
た。これを冷静に考えると、ファンはみんな「CDが欲しくて買った」のではなく「握手権が欲しくて買った」つまり
特典内容欲しさにCDを購入したことが分かります。その結果、CDシングルなんて普通に考えれば1枚で十分のところ
同じ人がCDを何枚も購入するという現象が起こったわけです。1人で20枚30枚も購入する強者もいました。

こういった理由で普通では考えられないCD売上枚数を叩き出し、アイドルは日本の音楽市場の上位を全て独占するほ
どの存在にまでなりました。いやーもう何かあれですね。恐ろしいですねアイドルパワー。でもそういった表向きの
情報が隠している重大な事実がそこにはあります。日本の音楽市場が世界一のように見えている理由とは・・・。

 

 

アイドルによって底上げされたCD売上枚数


日本は世界的に見ればCDパッケージが最も売れている国の1つです。でもその根本たる原因はまさに、このアイドル
文化が作りだしたものであって、言ってしまえば日本はアイドルがいなければCDはそんなに売れない国ということに
なります。CDのパッケージに複数のバリエーションを作って販売したり、特典内容を全面に押し出して販売したりと
そういったビジネス的な戦略があってこそ出た数字であり、それは同時に一部の限られたアーティストしかCDは売れ
ていないという現実がそこにはあるわけです。だから結局のところ、日本の音楽市場だってかなりヤバいんですね。

そう考えると、もはや音楽欲しさにCDを購入する人は全国規模で減少し、何か付加価値がなければ自分の懐を痛めて
までわざわざCDなんて買わない。という認識が広く一般化していることになります。でも考えてみればそうですよね。
レンタルショップに行けばアルバムだって300円くらいで借りられるものを、わざわざ3000円とかのフルプライスを
出してまで欲しいか?と聞かれたら悩むのも当然。音楽市場は縮小すべくして縮小してしまったのが分かります。

 

 

人はコピーできるものにお金を払わない


シングルの価格が1000円、アルバムの価格が3000円。その金額は積み重なれば大きなものになる。特に中高生などの
若い世代にとって貴重なお小遣いをはたいてまで買うにはあまりに大きな出費だと思います。僕の妹も音楽が大好きで
好きなバンドやアーティストのCDは買って集めたりしていますが、常に「兄ちゃん金ちょうだい」とか言われます。笑
知るか!って話なわけですが、そのくらい常に金欠の学生にとってCDにお金を使うことは、真冬の川に飛び込むくらい
辛いことのようです。いい加減うるさいのでこの前CD買ってあげました。ライブのチケットも。僕の財布が泣いてます。

レンタルショップが当たり前のように街にある今、音楽ソフトを自らの懐をいためてまで購入する理由がなく、小額で
ことたりるという感覚が広く一般化しています。つまりちょっとお店まで行けばコピーできるものが小額で手に入る今
わざわざCDというパッケージで買う理由なんてもうどこにもないわけです。よほど好きなアーティストでもない限り。

 

 

携帯電話の普及と音楽配信サービスの登場


音楽市場が全盛期を迎えた1998年頃、まさにこれと同じ時期から携帯電話の普及は始まりました。僕がまだ小学生の時
ですね。当時はまだお金に余裕のある限られた人だけが持っていた携帯電話でしたが、1998年頃を境に一気に加速して
いきます。当時の普及の主たるターゲットは若年層で、携帯電話を若年層が手にし始めたことでCDパッケージに大きな
影響を及ぼしていきます。

ここで注目すべきは何と言っても「携帯電話という新しいデバイス」という観点でしょう。つまり、これまでポータブル
CDプレイヤーやMDプレイヤーで聴いていた音楽を携帯電話という新しいデバイスで持ち歩くことができるようになりまし
た。着うたに始まり、着うたフルへと進化を遂げ、もはやCDを手にしなくても音楽は携帯電話だけで完結してしまう時代
になったわけです。携帯電話で音楽を聴くという新しい音楽消費のスタイルが登場し、その後の日本の音楽配信の大きな
基礎を築くことになります。

テレビが一般家庭に広く普及した当時は音楽が家族みんなで一緒に聴くものへと変貌し、その話題を学校や職場へ持ち込
むことで音楽とはみんなの共通言語として話題の大半を占めていました。その後、SONYからウォークマンが発売されたこ
とで音楽は「手軽に持ち歩いて楽しむもの」へと変化し、音楽の新しい文化やライフスタイルを形成しました。

続いてポータブルCDプレイヤー、MDプレイヤーが表れ、ついにあのiPodが世界に登場します。iPodの登場は革命的なも
のでした。これまで音楽を持ち歩く際には、プレイヤーであるデバイスにCDやMDといった音楽再生メディアを入れて聴い
ていたのに対して、音楽をデータ化し、データという見えないものにフォーマット化した音楽を持ち歩くという核心的な
技術の登場でした。パッケージからデジタルデータへと移行した音楽は、これまでバラバラに持ち歩いていたものを1つ
にまとめて持ち歩くことができる。ジョブスの言葉を借りれば「1000曲をポケットに。」という驚きのコンセプト。

これまで音楽を「モノ」に封じ込めて流通させるのが主流だったのに対して、音楽が「データ」になってしまったわけで
す。音楽業界に限ったことではありませんが、全てが「モノ」として提供されきた時代がついに終わりを迎えたんですね。
テクノロジーの発達によって音楽が「モノ」である必要性がなくなりました。だからレンタルショップの登場に加え、ま
るで追い打ちをかけるかのように音楽が「データ」としてやり取りされる技術が生まれ、音楽をCDというパッケージで購
入する理由はもはや全くなくなってしまったも同然ということになります。

音楽をのフォーマットが「データ」へと移行し、音楽を再生するデバイスも携帯電話やiPodといったデバイスへ変化した。
それはつまりアルバム全体を購入しなくても良い理由が生まれ、曲は1曲単位で購入できるようになり、携帯電話で手軽に
購入できるようになり、音楽というものの単価それ自体がどんどん安くなっていきました。1人の顧客が音楽に対して落と
すお金が、目に見えて少なくなったわけです。こうした理由で音楽という市場はどんどん縮小していくことになります。

 

 

Youtubeが音楽の市場に与えた影響と経済効果


今から8年ほど前、この最強の動画配信モンスターは世界に登場しました。無料で動画を好きなだけ見まくれるというこの
サービスはiPodが登場した時以上に革命的だったと言えます。何よりすごいのがユーザーが自由に動画を投稿することが
できて、しかもそのアップロードに制限がないという始末。あんたら一体どんだけ大きなサーバー持ってるんすか?と聞き
たくなるほどの容量を所持していること。YouTubeの登場で最強の暇つぶしサービスが世の中に広く普及しました。言わば
YouTubeはニート製造機みたいなもんでしたね。家にいても無限に楽しめるサービスは、根暗人間を大量生産してしまった
とも言えます。量産型ザクみたいな。

で、当時データとしてやりとりするのが主流になっていた音楽がどんどんYouTubeにアップされるようになりました。
つまりレンタルショップの登場でフルプライスのCDパケージ購入が減少し、小額で音楽を手に入れる時代からとうとう音楽
を無料で手に入れる時代になってしまったわけです。CDを買うのはおろか、レンタルショップにさえいかなくてもネット上
で音楽を聴くことができる。こうなるともう音楽という市場はてんてこ舞いです。

今まで「CD出たよ〜ほれほれ金出せや〜ぐへへ」という市場だったわけですが、時代は変わり「えっ?む、無料っすか?」
という時代になった。つまり音楽を売る側にとって恐ろしい時代に突入したのがここからです。いやーもうほんとね。あれ
ですよ。Google様はいつも何かやらかすんですよ。本当にネット界の問題児です。だが、そこにシビれる!憧れるゥッ!

 

 

音楽の他に楽しいものが増え過ぎてしまった歴史的背景


携帯電話によって、若年層を主としたお金の使い道が大きく変わりました。それまでの楽しみといったら本を買うとか漫画
を買うとか、CDを買うとかゲームを買うといった消費活動が僕たちの出費のメインだったわけですが、携帯電話の一般化に
よってみんなの興味が分散しました。携帯電話でネットにつなげば色んなサイトがあり、色んなサービスがあり、楽しみ方
が無限に広がってしまったんですね。もっと言えば携帯電話のパケット代も当時はかなり高額なもので、ユーザーの消費の
スタイルが大きく変わってしまったわけです。その結果、音楽にお金を落とす人が減り、顧客離れが拡大してしまいました。

簡単に言えば、音楽以外に楽しいものが増え過ぎた、という感じでしょうか。他にお金の使い道がたくさんできてしまった
ことで、それまで音楽を楽しんでいた人達が別のことに興味を持ってしまいました。最近ではスマホの登場もあり、さらに
追い打ちをかけるように消費者の出費の矛先が音楽からどんどん遠ざかって行く条件が整ってしまったんですね。

 

 

低迷する音楽業界で唯一伸びているライブ・コンサート


これまで音楽市場がどんどん縮小しているという話をしてきました。実際に1998年の全盛期に比べ、現在はその半分以下に
まで下落しています。音楽という市場が全体的に低迷している中で成長しているのが「ライブ」や「コンサート」といった
ビジネスです。フェスなんかもこれに当てはまりますね。音楽フェスティバルと呼ばれるイベントが各地で人気を集め、その
効果もあってかライブやコンサート、そしてフェスといったリアルの場での音楽体験を求める人がどんどん増えています。

なんで縮小する音楽市場の中、これらが成長したのでしょうか。結論から言えば、それはまさにリアルの体験の場だからです。
つまりそこでしか体験できない価値。そこでしか体験できない音楽を生で聴くという感覚は、まさにコピーができない唯一の
サービスです。ライブを楽しむには、そのライブに行くしかありません。後から発売されるDVDを買っても、その場の空気感
だったり臨場感は絶対にその場に行って体験しないと味わうことのできない感動です。こうしたコピーのできない特性に加え
最近ではライブに行く、というアクションそのものが一般化してきたことも原因として上げられます。ライブに遊びに行くと
いう行動の敷居が低くなり、ちょっと遊びに行く感覚で楽しむ人が増えてきたというわけです。ここに新しい文化の成立とい
うか、新しい音楽の楽しみ方が広く一般化したということでしょう。

音楽を聴くこと自体はYouTubeで無料で楽しみ、もっと聴きたければレンタルショップへ行き、その音楽をリアルで体験した
いからライブへ足を運ぶ。現在はこういった音楽の楽しみ方をする人が非常に多くなりました。出費の観点から見ても賢い使
い方であるし、デジタルがメインストリームになった今だからこそ、リアルの場にお金を使うということは利に敵っています。

音楽はもう「聴く」ではなく「体験する」に移り変わってきているのでしょう。これまでの音楽を楽しむスタイルとは大きく
かけ離れた全く新しいスタイルが形成されたんだと思います。そう考えるとこれからもっと変化していくのが楽しみですね。

 

 

音楽そのものはもはや無料コンテンツとなる時代


さてさて、最初にしては本気出し過ぎたんじゃね?レベルに長ーい記事になってしまいましたが、いかがでしたか?
長いこと、音源での収益を中心に成り立っていた音楽市場。でもこれからは音源そのものは無料コンテンツとなり、それ以外
の何かで収益の基盤を作っていくことが重要だと思われます。とりあえず新しい曲出せば飯食えるっしょ。的な時代はもはや
見る影もありません。それぞれのアーティストやバンドが音源で収益を得るということだけではなく、その他の活動に力を入
れないとやっていけない時代です。それだけ、アーティストやバンドの本当の価値が問われる時代なのではないでしょうか?

これまでメディアからの一方通行だった音楽という市場も、ソーシャルメディアの登場もあってファンとの双方的なやり取り
に重点が置かれるようになったわけです。別の言い方をするなら主導権がシフトした、ということです。もはや音楽の価値を
決めるのは作り手ではなく受け手である、と。だからファンを大事にするアーティストやバンド、音源以外の何かでファンを
楽しませることができるアーティストやバンド。そんな人達こそがスポットライトを浴びる時代です。

これからの音楽業界、とても厳しい世界になりつつあるなか、裏を返せばそれだけ平等なフィールドが用意されたとも言うこ
とができます。メジャーだから大丈夫、プロだから大丈夫、そんな時代はもう終わりました。アマチュアだろうと何だろうと
ファンとの双方性あるコミュニケーションを大切にし、音源ではなく他の何かで収益を多様化することができる人が生き残る
世界というわけです。まさに弱者が名乗りを上げるチャンスですね。今後どう変化していくのか?とても興味深い市場だなと
思います。さーてそろそろ僕も音楽でハイになってきますかなー。たまーにぶっ飛びたくなる時って、ありますよね。

ではでは、みなさん良きNo Music No Lifeを〜。